胴上げして、全員骨折。「ロイエンタールに相談だ。」
ちょっと気持ち悪いけど興味惹かれる
現役東大生はロイエンタールの夢を見るか
参考にアマゾンのリンクをはっていますが、ここから入っても僕には一銭も入りませんので、もし「ま、いつもブログみてっし、ちょっとくらい稼がせてやるか」という方は、右のウィジェットから入ってもらえると助かります(笑)
すでに100タイトルのリストアップは終えています。自分が読んだものばかりです。SF,ミステリー、科学に歴史、人文、芸術と、まあ多岐にわたっています。なるべくバランスよく選ぶようにしました。
判断基準は、子供の「視野を広げ」「思考力を深め」「エログロナンセンスの少ないもの」といった感じです。僕個人はハードボイルドなども好きなのですが、100タイトルにはまったく入りませんでした(笑)
とりあえず、読んで絶対に損のないモノ、プラスがあるモノを選びました。
受験に出そうな小説ばかり読んでも、知能が大幅に伸びることはありませんし、詰まらないです。であれば、難解でも意義深く、濃いものをおススメします。
お子さんと一緒に、軽く僕の感想(書評)などを読んで、よさそうだなと思えるものからいってもらえればと思います。小学生だと全部はキツイですが、中学生以上なら読めるはずです。時間をかけて読んでくれても構いませんし、その価値があるものしかあげていません。
まず、最初はSF編です。一応僕もちっこい賞をもらっているSF作家の端くれなので、まずはSFからさせていただきます。SFこそは、未来への視点をもたらしてくれる素晴らしいジャンルです。
<子供を伸ばすおススメ読書100タイトル SF編①>
1、万物理論 グレッグ・イーガン 文章レベル★★★★★(最大5)
僕がとにかく敬愛する作家が、このグレッグイーガンです。SFといえば、ファンタジー色が強いものが多く、僕はそういうものはあほらしくなって読めない性質があります。その点、イーガンは、自身でも科学論文を書くほどの学者でもあり、飽くまでリアルな筆致に徹しています。
万物理論とは、「世界の成り立ちを決定づける究極の理論」です。その理論を手にしたものは限りなく神に近い存在になれます。この話では3人の万物理論に達した疑いのある天才科学者たちが出てきます。万物理論に達した科学者はこの世を自由にできる可能性があるのです。世界が激変していくなか、一体だれが万物理論に達したのか。
一世を風靡したラノベ、涼宮ハルヒシリーズのモチーフにもなった話です。(多分)
この本をどうしても最初に持ってきたかったのです。小学生にはちょっと難解すぎるとは思いますが、中学生以上であれば、ゆっくりとでいいので3か月くらいかけて読んでみるのはいかがでしょうか。やはり、これを理解できるくらいの知力は欲しいですね。
万物理論以外にも、男と女の間の新しい性など、近未来に「ありそうな」ギミックがたくさん出てきます。僕らには魔法のように思えることでも、イーガンの中では根拠があるのを感じます。
これがわけわからないなら、ま、わかるまでたくさん勉強したまえ、と言われているに等しいです。
これが読めたら、次はさらにわけのわからない「ディアスポラ」などがおススメです。これがヘビィな方は、「祈りの海」や「幸せの理由」などの短編集であれば読み易いと思います。そちらも十分に面白いです。
2、夏への扉 ロバート・A・ハインライン 文章レベル★★★
これは日本で大人気のSF世界の鉄板作品です。いわゆるコールドスリープモノです。やや訳が古い感じはしますが、ハッピーエンドで読み易いです。
裏切りにあい、ほとんど強制的に冷凍睡眠装置に入ってしまった主人公は、目覚めると未来にいました。そこで初めて出会う未来の出来事を学ぶうちに、タイムマシンに出会い、もう一度元の世界に帰り、自分をだました人間たちの鼻を明かしていく話です。
見どころは、結局もう一度コールドスリープをして、かなり年下の姪っ子と結婚してしまう、というハッピーエンドまでの道筋です。うーん、その手があったか(笑)
これが、1950年代の作品ということに非常驚きます。今読んでも、古くさくないしっかりとしたSFです。なぜか日本でしか人気がないようで、ハインラインといえば「異星の客」などの宇宙人モノ、などが海外での高評価のようです。そちらを読むと、全く違う印象のハインラインに出会えます。
3、1984年 ジョージ・オーウェル 文章レベル★★★★☆
非常に濃い作品ばかりで恐縮です。が、普通のぬるい本を100冊読むより、濃いもの1冊をしっかり読む方が、若い間は良いかもしれません。日本のある人気作家の小説のタイトルの元になっていますね。
冷戦下の反共産圏の影響を色濃く受けた作品ですが、SFとしてもすぐれています。
テレスクリーンや小型マイクで、市民生活の全てを管理された都市が舞台です。いわゆるディストピアものの系譜にあたります。
そこでは、すべての市民は自分の意思で生きているようでも、実質ビッグブラザーによって飼いならされています。各人の経歴は消されていてすでに自分が何者であったかもわかりません。それで争いのないある種平和な社会が築かれていました。
過去の新聞記事から、洗脳形態に思い当たった主人公は、それを脱すべく反乱を決意します。が、当然、管理されているので難し
いわけです。管理主義下での難しい恋についても描かれています。
禁止された図書をめぐるレイ・ブラッドベリの「華氏451」にも通じる話ですね。(日本にもそれのぬるい版がありましたがw)
現代でもメディアなどによって、大きな意味では操られているとも言えるのが僕ら現代人です。本当の意志をもち、自分の人生を歩んでいると言える人間がどれほどいるのか。
非常にぞっとするテーマを扱っていて、面白いです。そのような視点が持てるだけでも大きいでしょう。
オーウェルは、「動物農場」なども面白いです。
4、アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス 文章レベル★★★☆
やっと女子にも勧めやすいものが来ました(笑) ドラマなどにもなった大ヒット小説ですね。
この本では、知能の価値を考えさせられます。主人公は、知的障碍を持ち、健常者に憧れているのですが、ある手術をきっかけに天才的な知能を得ます。が、知能を得たことで、知りたくもないことを理解してしまったりして、その知能に振り回される生活が続きます。ラストは、その知能が失われていくことを知った苦悩も描かれます。
知能を失った彼には、最後まで「優しさ」がありました。
知能があるけど優しくない人間と、知能はないけど優しい人間、どちらの方が良いのか。まあ、そんな単純な話ではないですが、1人称で語られていて、最後は主人公の純な生き様に涙を誘われます。
5、銀河英雄伝説 田中芳樹 文章レベル★★★
田中芳樹さんという作家は、アルスラーン戦記や創竜伝など、世界史然とした作品が多い方で、造詣が深すぎて、この人の作品を読むと世界史を勉強したくなってしまいます。宇宙戦争を描いたこの作品でもそうなるから不思議ですね。
基本的には、帝国と銀河連邦との相克から「民主主義」の実像を浮かび上がらせつつ、その中で個性豊かな英雄たちを描いていく壮大な軍記モノの構造となっています。僕のお気に入りは不遇の知将ロイエンタールですね。
僕はファンタジー色が強いものが苦手で、宇宙戦争モノなどその最たるものなのですが、これは上橋菜穂子さんの作品にも似て、リアリティがしっかりとあります。
加えて、田中芳樹さんの文章は読みやすく、詩的情緒があり、文の中にカッコいいリズムや表現があります。現代作家が一番失っているものです。それに触れるだけでも意味はあるでしょう。
10巻も読めねえよ、という方は、同じく田中芳樹さんの「アップフェルラント物語」をおススメします。これは架空のヨーロッパの小国を舞台としたラピュタ的な活劇モノです。架空とは言いますが、隣国はドイツやロシアなどの大国がひしめき、リアルです。本も薄いし、読み易いですね。
ううむ、たった5冊でこんなにも長くなってしまいました。不定期でちょくちょくあげるようにしますね。100冊も持つのか……。
いつも読んでくださってありがとうございます。
お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。
5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。
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